Pas-bumba

ブラジルに広く伝わるボイ文化を知りたい人間の学習発表会

今年のToada〜カプリショーゾ編〜

しばらくはボイ・ブンバをお届けします〜

追記:今年のボイ・ブンバはコロナウイルスの流行により延期です。開催日程は後日発表になるそうです。

 

ボイ・ブンバって何?って方は↓

アマゾンのボイ・ブンバI:イントロダクション - Pas-bumba

トアーダToadaって何?って方は↓

ボイの楽しみ方〜ボイ・ブンバ編〜 - Pas-bumba

 

最初にお詫びをしなければなりません。私は前回の記事で「今年の注目曲とお馴染みの曲を紹介する」と述べましたね。

でも書いてるうちに長くなってしまって、やはり時間がかかっても記事のクオリティは下げたくないなと思ったのでお馴染みの曲を次回に回すことにしました。

①今年のToada ②お馴染みのToadaの2部構成を、青赤の順でお届けします!

 

と、いうわけでこの記事では今年の曲をご紹介していきます!

 

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2007〜2016年の間クーニャ・ポランガを務めたMaria Azêdoという方。

すごく美人さんです…!今は国内でショッピングサイトを運営しています。

 

 

今年のCD収録曲を全部歌詞付きで組んでる動画のプレイリスト貼っておきます↓

↑右上の3本線をクリックすると全曲聴けます〜

この中から私が独断と偏見で選んだ6曲の背景を解説します!

 

 

5)A Batelha dos Três Exércitos

この歌の主人公はブラジルのワヤナ Wayanaという民族。今日ではワヤナはパラ州北部の川沿いの村で生活しています。

ワヤナは自然界、特に土地柄水生生物に馴染みがある部族であるものの、危険な動物としてヘビやトカゲ、ジャガーを挙げます。殺される危険があるからだとか。

そんな危険視されるヘビを前に戦うワヤナの3人の狩人(直訳だと軍人、軍といったものですが、槍などを扱う男のことを指してるので私は狩人と記しておきます)の歌。

月明かりの下で自然を相手に戦う臨場感が巧みに歌われます。

 

 

12)A Estrela Que Impera

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この写真の方はレバンタドール(ボーカル)や司会として長い間カプリショーゾを盛り上げてきたArlindo Júniorという方。昨年12月に亡くなりました。

1998/99年にはレバンタと司会の両方をこなすなど、精力的に活動していましたが、最後に司会をやった2014年以降、がんが治ったり再発したりの繰り返しでした。がんが良くなるたびに表に出てきて歌ったりしていたんですが、今はひとびとの記憶の中にいます。

この曲は、カプリショーゾにとって歴史の一部ともいえる功労者への追悼の曲です。

今年のショーでも大事に取り上げられるかと思います。

 

 

16)Caboclas

カボクロとは白人と先住民の混血の人たちのこと。Caboclasと女性形になっているのでわかる通り、この曲はカボクロ女性へのリスペクトを歌う曲です。

カボクロはボイ・ブンバ以外にもレシフェのマラカトゥ(リオのサンバ、サルバドールのアシェと並ぶブラジル3大カーニバルの1つ)という音楽でも演じられます。アマゾン以外にも北部(北東部)に馴染みが深いんですね。

カボクロは、いわゆる街の上層市民からの軽蔑の呼称でもありますが、この曲では「私は何でも知ってる。勇気や美しさも与えられた。賢くカボクロの女性として生きる。(ニュアンス)」と大変主体的で良く描かれます。

女性として、カボクロとして生きることの明るい面を歌う曲なので、ボーカルも女の人のトリオです。

 

 

19)Paquarina / Consciência Tribal

ペルーのチチカカ湖をご存知ですか?ここはインカ帝国時代、「すべてが生まれた場所」という意味のパカリナ Paquarinaと呼ばれていました。

その時代、人々の祖先は岩・山・泉など自然のものであると考えられ、信仰されていました。その中でもとある集団(ここで暮らす人間のこと)が出てきたとされる、特別な祖先こそがパカリナです。だから「すべてが生まれた場所」。

地球が荒ぶ時、それは我々人間にも及ぶもの。土地を守るために我々は抵抗するといった歌詞で、祖先(土地、パカリナ)に対して語りかけるような歌になっています。

 

 

20)Warana

ガラナサワーというブラジルの炭酸ジュースを飲んだことありますか?

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これはガラナ Guaranaという果物からできています。アマゾンのウルカラという地域で栽培が盛んで、その近辺の農家はガラナの収穫で生計を立てています。

 

で、その兄弟にあたる果物がワラナ Waranaです。同じくアマゾンのサテレ=マウェ Sateré-Mawé族がワラナの生産を担っています。

サテレ=マウェ族にとってのワラナは民族のアイデンティティを構成するものでもあって、力強さの象徴とされます。ワラナの種子から作られるジュース、チャポもまた、神聖な飲み物として考えられているのだとか。

ワラナの生産を継ぐ若者が都市に出てしまって生産のノウハウを知る人が少なくなっている問題に直面しつつ、今日でもサテレ=マウェはワラナ生産を続けています。

この曲では、ワラナが一族の繁栄をもたらす希望の存在として歌われていますよ。

 

 

22)Reahu / Comunhão do Espírito 

ベネズエラからアマゾンの最北部のヤノマミ Yanomamiという部族がこの歌の主人公。

ヤノマミでは葬式の最後に部族内の色々な家族が集まって大人数で葬式の最後を祝う儀式があり、レアフ Reahuと呼ばれています。亡くなった人の遺骨を囲みダンス、歌などのパーティーとも取れるものです。

ヤノマミの女性はすごく幼い年齢(14〜16歳)で出産するのですが、産んだ子は育てるか森に還すか選択をします。亡くなった時も森に数週間遺体をおいた後、焼かれます。その灰をひょうたんのような入れ物に分けて人々に与え、始まるのがレアフ。

 

実はガランチードが2003年に全く同じ儀式を歌にしています。

こちらも参考にどうぞ。

 

 

 

 

さてここまで2500字もつらつらと解説しましたが頭に入りましたか?ワヤナワラナ…ややこしくなってきますよね笑

 

冒頭でも述べたとおり、次の記事ではカプリショーゾのお馴染みの曲をご紹介します。何年も使われている、6月の本番以外のイベントでも登場頻度が高い曲を取り上げますので、サークルでボイを嗜んでる人は聞いたことある曲もちらほらあります。

 

お楽しみに!