ボイと私
急に私の話になるので恥ずかしいんですけど笑、ブログにしよう!!と思い切った経緯を書きます。
この牛さんイヌっぽくて愛おしくないですか?
ブログを立ち上げた理由は大きく3つあります。
1つ目は昨今のコロナ騒ぎでサークル活動の目処が立たないこと。
私はブラジル音楽のサークルに入ってて、主にサンバをやっています。外部で活動するときは基本的に打楽器を持って、あの存在感のある音楽を奏でております。
1年生の終わりからはもう1つ大きいサンバのサークルに入って、今は2つの団体に身を置いてます。
で、今年はいよいよ幹部。しかし、コロナ。
1年生の学祭で初めてボイ・ブンバのコピーバンドに入れてもらってからすっかり染まってしまった私は、勿論今年ボイバンドのバンマスになりました。2年生の頃からバンマスになるのを楽しみにしてたくらいだったのでウキウキです。
でも1番最初に出るはずだった3月のライブが中止になって、だいぶダメージを喰らいますよね。実はこの記事に書いてるものはその期間に自分のFacebookページで書こうかな〜としてたんですけど、断念しました。あとバイト先で色々あってFBのアカウントも消しましたし。。
学祭こそは!と思ったら出演予定の学祭が1つ消えて。もうひとつ中止になったらもう私はバンマスとしてサークルでボイの音楽はできません。
でももう割と諦めてて…笑。流行病を前にわがままを言うこともできないし、こればかりは仕方ないし。
バンドを組んで発表する機会がないのなら、個人でボイの何かしようと思って、記事を書くことにしました。
音楽という目に耳に残るものを残すことができなかったときに、「自分がバンマスとして何をしたか」がゼロだったら嫌だったので。
ここまでダラダラ取り上げてたら嫌でも誰かしらの目にはつくじゃないですか。きっかけになりたいとまでは言えないですけど、少なくとも読んだ人にボイという名前ぐらいは覚えてもらえるでしょうし。
どんな形であれ「私のボイ」が誰かの記憶に残ればそれで良いやと思って公開しました。ミス○Dの自己紹介みたいなこと書くな。
2つ目は、自分を勉強させたいということ。
サークルも3年目なのに、全然アウトプットできてないなって思ったんです。好きでやってるだけで、ちゃんとそのバックヤードとか核心の部分を説明できないまま惰性で音楽だけをやってしまうのが自分の中で納得できないといいますか…。
好きでボイを眺めていますが、「なぜ私はボイに興味を持っているのか」「この文化を通して私は何を知りたいのか」を言語化するには自信がありませんでした。
ブログは読み手がいてこそ成り立つものなので、人に伝えることを意識することが狙いでもあります。
3年目とはいえ、まだ2年サークルで過ごすことができます。卒業しても興味が続く限り楽しめますけど、やはり自分がプレイヤーであるうちにたくさん吸収しておきたいなと。
最後の理由は1番大きい理由でもありますが、純粋にボイという文化が大好きなので広く知られて欲しいというおこがましい願望です。
ここまでブラジルの土地に幅広く、そして形を変えながら根付いてきた文化の面白さや、そこから読み取れる先住民や土地への敬意を発信したいなと。
本当に、こんなブラジルの土を踏んだこともなければたかが大学生の身分でこんなこと書くの自惚れてるも良いところなんですけど、興味を持った!知りたい!となっても簡単に欲しい情報がまとまって手に入れられるサイトが少ないなと感じました。
私は規格外に頭が悪いので情報が多くても少なくても詳しくても粗くても理解に時間がかかるのですが…。そのぶん何回も時間をかけて海外でも国内でも記事を探して読みました。
好きなだけで賢くないからこそ、「私と一緒にボイに触れてみましょう!」というスタンスで書いてみたいなと思うようになりました。
こんな書いてて恥ずかしいですね、、。学祭ありますってなったらもっと恥ずかしいです笑。嬉しいですけど。
更新は不定期になりますが、加筆訂正作業は随時しようと思ってます。アマゾンのボイ・ブンバを中心に、もう少し細かい記事を書いていく目標です!
長々と私の心境発表に付き合っていただきありがとうございました!
今後もお楽しみに!!
ボイの継承をめぐる考察
考察と書くとすごく真面目そうですが、私がぼんやり考えたことを書いてるだけなので、あまり深く読み込まないでくださいね。
安心してお読みください。
これはどこのボイでしょう?衣装がヒントになっていますよ
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外来としてのボイ
マットグロッソ(以下MA)ではシリリとクルルという音楽が人々の間で広く伝わっています。結婚式や宗教行事などのお祝いごとには欠かせない、どちらもヒスパニック系のダンス音楽です。ここでのボイはボイ・ア・セラというものでしたね。
MAはもともとトルデシリャス条約によりスペイン領でした。だからヒスパニック系の音楽が根付いているんですね!18世紀に入植者が相次ぎ、ポルトガルによって総督府が置かれたのは1748年になります。
ここに移植してきた人たちにとっては、ボイがある意味外来の文化な訳で、今続いているのも北東部からの伝統を受け継ぐというより、新しい音楽に手を染める感覚に近いのかもしれません。
ボイはポルトガル系の宗教だったり、ブラジルの伝承の色が強いので、ルーツを外に持つ民族からは地元の音楽として受け入れる意味での共感は得にくいと思います。実際、この地でボイを盛り上げるのは厳しい境地だそう。
一方、ボイの宗教色が強いと前回最後に述べたバイーア。海沿いの州で、ビーチエリアとしても有名ですが、ストリートパフォーマンスが活発。サンバ・ヘギやアシェなど、アフリカにルーツを持つブラジル人の間で始まった音楽が盛んです。
元々探検家のカブラルが到着してから間もなくしてポルトガル領になっています。今ここで暮らしている人たちは、その時代に黒人奴隷として連れてこられたアフリカ系の末裔にあたります。
ここでも外来の音楽にあたるボイは、やはり民俗伝承の共感は得られません。しかし、この地では宗教面が非常に浸透しました。黒人貿易にはカトリック教会からの後ろ盾があり、この地に入植した者にも馴染みがあったからだと考えられます。
そのため、ボイは北東部とは異なり宗教行事の色を強くして残ってきたのではないでしょうか。
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後継危機
文化の継承にはコストがかかる。これはどの国のどの文化でも当てはまることですよね。
リオグランデ・ド・ノルテ(以下RN)のボイ・カレンバは、主に活動しているのは1グループ。つまり、州の内部でも外部でもボイ・カレンバの音楽が披露される場は大体同じ人たちが出向いています。
精力的に活動していますが、ボイ・カレンバを継承するために若者からから関心を得るのに難色を示しています。そしてグループとしての定期収入がないため、活動はメンバーの自費に頼る部分が大きいそう。
今は仕事をしながら音楽をしている人が大半なので成り立っていますが、後継の若者がいないと続けることができません。
また逆に注目されているのはアマゾナスのボイ・ブンバです。3回にわたる記事で説明しましたので規模は分かり易いかと思います。
その派手さから沢山の観光客を招き入れ、州としての観光収入にも大きく貢献しています。しかし、外部向けに発展しすぎて今度は地元の当事者意識が薄れてしまったように感じます。
採点項目にも先住民族の文化への敬意が見られますが、観客はパフォーマンスを伝統文化というよりショーの1つとして捉えてしまう風潮も強くなってきました。
ボイ・ブンバのフェスティバルはもともとゴムやコーヒー、ジュートの生産で栄えていたアマゾナスの景気が落ち込んできたのを盛り上げるために始まったとも言われます。そのため、ショーとしての呼び込みが強くなったのは自然の流れでした。
時間と共に風化される伝統への理解を継続させることがRNやボイ・ブンバなど対外活動するグループへの課題でしょう。
さて、生意気ながら2つの観点から文章にしてみましたがいかがでしたか?
少し文脈が不自然なのでこの記事は今後も加筆を予定しています。
みなさんもぜひ、ボイ比べしてみて下さい!
その他地域のボイ
北部のボイ紹介してきました。
大丈夫ですか?飽きてないですか?
今回も今回とてボイです!ブラジルは広いですね。これで最後にします。
最後に取り上げるのはロンドニアのボイ・ブンバ、マットグロッソのボイ・ア・セラ、エスピリトサントのボイ・ピンタジーニョの3つです。
南部にも勿論見られますが、ここでは取り上げません。(あとで記事にするかも…?)
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ボイ・ブンバ
ん?ボイ・ブンバって散々解説されてこなかった?と思っちゃいますよね。ロンドニアのボイはアマゾンから影響を受けているので、名前もそのままボイ・ブンバです。
アマゾン程の規模ではないですが、非常によく似ています。ロンドニアでは州のカーニバルにボイ以外も出演します。もともと学校の校庭で行われていたところから、州のカレンダーに載るぐらいまで規模が大きくなりました。
採点項目に出てくる人物も登場するものの、アマゾンほど形式化されておらず、動画を見れば分かるように一斉に出てきます。東京で阿波踊りのイベントやるような感じです。
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ボイ・ア・セラ
人々の間に深く定着している訳ではないものの、活動している団体がしっかり3つあります。うち1つは2017年に結成され、65人のメンバーがいる新しいグループなんです!
この一帯はサトウキビの栽培が盛んですが、ヨーロッパからその栽培が伝わってきたときに一緒に始まったとされます。なので、だいたい製糖工場のある地域で盛り上がりを見せてきました。
ヴィオラ、ガンザ(ブラジルのシェイカー)が主に演奏に使用されますが、パーカスだけでも踊ったりします。牛の回復のお話を伝える歌を歌うボイの性格はそのままに、州で有名なクルルという音楽の影響も受けて独自の発展を遂げています。
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ボイ・ピンタジーニョ
ヨーロッパから様々な移民を積極的に受け入れてきたこともあり、すごく多様性に富む州です。州のムキというところが舞台に。
毎年2月に4〜5日間行われます。住民や観光客合わせて15,000人以上魅了している、そこそこの規模のお祭りなんですよ!
2020年のスケジュール。出演団体多!フェスのタイテみたいですね。
約20のグループが集まり、大人のグループから子供まで。女性だけのグループもあるんだとか。大きいところだと150〜200人ほど。
最も古いグループで70年ほど活動しています。
ここまであちこちのボイを説明してみました。
ヨーロッパ(主にポルトガル)から輸入されてきた宗教文化とブラジル古来の伝承が結びついているのがアウトプットの幅広さに繋がっていますよね。
バイーアの様に宗教色がかなり強くなったり、マラニャンのように先住民文化に忠実な表現をしたり。
アマゾンでは競演、観光客向けのイベントとしてかなり力を見せています。外国から来た人でもブラジルの先住民文化に触れられるように、会場の外では民族衣装やアクセサリーを販売したり、周辺で釣れる魚をかき集めて提供したりします。
ボイ・ブンバを大きく成長させることで、アマゾン外から向けられた関心をブラジル先住民への敬意に向けるようにしています。
実際、現地に出向いたことのない私がアマゾンから入って各地のボイに興味を持っているので、もっと評価されてほしいなと。(個人の願望なので薄い色にしてみた。)
さて、言うなればここまで推しの紹介をしてきた状態です。
オタクを拗らせたことのある人間ならわかると思うんですけど、世界には推しと私が全てですよね。論理の飛躍。急に何があった。
という訳で、次の記事からは私の考察(推しの解釈を語るのは大事)と私のお話(推しに出会うまでを語るのがオタクの挨拶)を書きます!
アマゾンのボイブンバⅢ:採点項目
さて、ボイ・ブンバの基礎情報を2回に分けて書いてきましたが、今回は採点項目と、ボイ・ブンバの登場人物について説明します。
ミュージカルのように演目によって登場人物などがテーマによって1から変わるようなイメージになりますが、違います。
どちらかというと歌舞伎と似ています。
女方、立役……は演目ごとに演じる人物を変えても役柄が持つ性格は変わらないじゃないですか。ボイ・ブンバのダンサーも類型化されていて、テーマによって衣装や動きが変わりますが、役柄の性格は必ず引き継ぎます。
この説明で伝わりますかね?とりあえず、ボイ・ブンバ=歌舞伎という認識で読んでみてください。
採点項目は21。
毎日、以下の項目を7点から10点の間で点数をつけます。その日に表現されていないものがあると、他の日に演じていたとしても、その日のその項目の点数は0になります。(例えば2日目に巫師のパフォーマンスがなかったら、その日は12の項目に点数は入らない)
12人の審査員に点数をつけられる項目を1つずつ見ていきましょう!
(1)司会 APRESENTADOR
観客を煽り、ショーの流れを解説、盛り上げるひと。
(2)ボーカル LEVANTADOR DE TOADAS
基本的にずっと歌っているひと。
(3)演奏 BATUCADA OR MARUJADA
基本的にボイ・ブンバは生演奏。オペラと一緒!
(4)先住民の儀式 RITUAL INDÍGENA
先住民の神秘的な儀式を再現する。
(5)旗手 PORTA-ESTANDARTE
動く牛のシンボルである旗を使ったダンサー。勇気・優雅さ・喜び…をバレエの様なダンスで表現する。
(6)農場主 AMO DO BOI
牛の回復のお話の農場主。カウボーイを従え、牛たちと暮らし、牛を称賛する歌を歌う。
(7)農主の娘 SINHAZINHA DA FAZENDA
↑の娘。家族の中ですごく大事にされているので、優雅な動きをする。牛に愛情を注ぐような動きが見られる。
(8)先住民の女王 RAINHA DO FOLCLORE
厳かなドレスに身を包み、先住民の前に立つ女王を演じる。
(9)クーニャ・ポランガ CUNHÃ-PORANGA
先住民女性の力強さや優雅さを表現。部族のために戦う少女でもあり、森の守護者でもある。
※日本語でニュアンスの近い単語が見つからないので、現地の名称のままご紹介しました。
(10)牛 BOI BUMBÁ EVOLUÇÃO
ボイの象徴の牛さん!
(11)楽曲 TOADA (LETRA E MÚSICA)
歌詞や構成、編曲…など幅広く評価される。歌詞解釈には先住民時代から現在に至るまでの歴史的・地理的、文化的・社会的要素を集約するようにする。
(12)巫師 PAJÉ
牛の回復のお話にも見られる巫師。先住民にとって医者でもあり、部族を導く存在でもあった。
(13)先住民 TRIBOS INDÍGENAS
アマゾン原住民を模したパフォーマンス。ルーツへの忠実度を見られる。
(14)先住民の頭 TUXAUAS
これどこに顔があるか分かりますか?
先住民部族のリーダーを演じる。アマゾンの先住民やカボクロ(キリスト教に馴染んだ先住民。白人社会の中で奴隷にされた)を象徴的に表す。
(15)アマゾンの土地 FIGURA TÍPICA REGIONAL
アマゾンの風景/土壌を表現する。
(16)山車 セット ALEGORIA
舞台セットや山車。細部までの完成度、動きなどの機能性、大きさや美しさが考慮される。
(17)アマゾン文化 伝説 LENDA AMAZÔNICA
アマゾンの文化や民間伝承を表現する。
(18)カウボーイ VAQUEIRADA
牛と一緒に遊ぶカウボーイ。
(19)観客 GALERA
観客の盛り上がりもパフォーマンスの完成度の一部。
(20)振付 COREOGRAFIA
パフォーマンス全体を通したダンスや動き。
(21)編成 ORGANIZAÇÃO E CONJUNTO FOLCLÓRICO - APOTEOSE
アリーナのお掃除とも。終演時のこと。
採点項目は以上です。
司会が次の曲がどの項目にアプローチするものかを叫ぶので全体を理解しやすいです。
美しさや完成度、親しみやすさ、独創性、などは項目関係なしに見られます。
そして、勝敗は3日間全てのプログラムが終わった後に発表です!
さて点数がつけられるまでを長々と2千字以上も書いてきたんですけど、ついてきてますか…?
ボイ・ブンバの解説は一旦これで終わりです。
次回からはブラジルその他地域のボイを紹介します!
アマゾンのボイブンバⅡ:基礎情報
前回触りの部分だけ紹介したので、今回は年間の流れと構成の頭の部分を紹介してみます。
ウシさんもコロナ仕様。ステイホーム。
毎年6月末なので、今年も50日を切っております。こんなご時世ですが、今のところは実施するそうですよ!
今年のテーマは青カプリショーゾが「地球〜私達の身体 私達の精神〜」、赤ガランチード「我々は森に生きる(直訳:我々は森の民)」。
直近10年はちょうど5回ずつ勝敗が分かれているので今年も読めません…!!
ちなみに私は民族土着のテーマで勝負に出ることが多い青チームが好きです。特に2013年のものが好きなので、画像だけ貼らせてください。
まず年間の流れを簡単に書き起こすと…
(毎年時期がかなり前後するので今年のをベースに若干調整加えています)
11月 テーマ発表
大体10月末〜11月にテーマ公開
12月 各チーム新曲デモ公開
この中からCDに収録する曲が決まる。歌詞や編曲が変わったりも。
1月 CDのプレイリスト公開
春に発売するCDの曲目を発表。
3月 表題曲数曲の振り付け投票
観客にも踊りやすいように、数曲2パターンの振り付けを用意して、どちらがいいか投票で決める。
4月 テーマCD発売&振り付け公開
表題曲以外の振り付けも公開。CD収録曲のほぼ全てに振りがつく
5月〜6月
もともとほぼ毎日練習があるが、この頃から公開練習が増えてくる
6月末 本番
こんな感じになります。
特に書いてないですが、ちょいちょい外部のイベントに出演したり、曲の投票など重要場面では一般参加の公開会議を開いたりしています。
リークが多いので、12月時点で一部の振り付けが出てたり、ファングッズ(Tシャツとか)のデザインが公開前に分かったりってことも笑
1年をかけて用意した3日間のセトリは毎日違うもので、その年の楽曲以外も演じます。そして採点項目のどこにアプローチするかを曲ごとに考えて構成されています。
昔の勝負曲を別の形で使うことも。
例えばこの曲↓
これは2015年の1日目の1曲目。つまり掴みの曲目です。観客ももちろん歌えます。
これは2016年の1日目。ソロで点数を稼ぐ要職ダンサーさんのパフォーマンス楽曲になっていますね。
このようにしばしば既存曲が登場します。
この曲は2015年のAmazônia,nas Cores do Brasilという曲で、歴代の楽曲の中でもトップレベルのファン人気を誇るもの!
で、この
迫力のあるセット(山車)や、
大変作り込まれた衣装に、
とんでもない数のダンサーさん。(全部人ですよ!)
これらが1チーム2時間半もノンストップで出てくるのだから見どころ満載ですよね。
山車は大体3〜4つ、衣装は重いものだと80kg(十二単4つぶん?!)、演者は1500〜3000人ほど出てきます。
一体全体どこからそんなお金や人が湧いてくるのでしょう?
お金はグループとしての公演や外部のイベントなどからの収入や州からの補助金にも頼りますが、基本は参加者の自費です!自分の衣装は自分で払います。
ダンサーは採点に関わる要職ダンサーは細かい基準が設けられますが、一般のダンサーは割と広く受け入れます。
サークルのOGさんは日本人にして参加したとか…!世界は狭いのか広いのかわかりませんね、、
さて、お待ちかねの採点基準と細かい説明は次の記事で書きます。
これまでで一番画像や動画が出てくるので、要チェックです!
アマゾンのボイ・ブンバI:イントロダクション
前回は北東部のボイを紹介しましたが、ここからは灼熱のボイ・ブンバを取り上げます!
説明が長くなってしまうので、3つに記事を分けます。
今回はボイ・ブンバの基本的な説明をします。
まずアマゾナス州は
ブラジル北西部にあります。
アマゾン川に浮かぶパリンチンス島が舞台になります。
毎年6月最終週末3日間に開催されるボイ・ブンバは、リオのカーニバルに次いで2番目に大きなブラジルのお祭りなんです!
毎年観客は数万人に及び、その時期パリンチンスを訪れる人は10万人を越えてくるとも言われます。島の住民が11万人ほどですから、いかに世界中から関心を向けられれているかが分かります。
会場外では他のジャンルの音楽も独自に繰り広げられ、すごく活気があります。都会からわざわざ歌手が来たりもするんだとか。
アマゾンのボイは赤チームGarantido(ガランチード)と青チームCaprichoso(カプリショーゾ)の2チームがパフォーマンスを競います。ここが他のボイとは違う最大の特徴です。
ガランチードの牛は白に赤いハート、カプリショーゾの牛は黒に白の星がモチーフ
毎年各チームテーマを決めて演目を用意し、21の採点項目で点数をつけ、点数の高い方が勝ち。
審判は音楽家や振付家など基本的な顔ぶれから、山車や巨大な大道具のつくりを見る建築家、ストーリーに伝統や宗教がきちんと反映されているかを見る民俗学者、総合演出家…などなど。幅広い視点から採点されるので、非常に多岐に及びます。
採点項目の話は3回目の記事にしますので、そこでまた詳しく説明しますね。
映像を見てみましょう↓
エ?2時間半も見るの?と思ったそこのあなた。
これは青チームだけで、本番は赤チームもあるので2時間半×2のぶっ通し!これでもたったの半分なんですよ、、
しかもそれが3日間続きます。大体の人は1日だけ参加するみたいですけども。
見るにも体力が必要ですが、その分熱気も凄まじいです。
アマゾナス州でのボイの歴史は1859年まで遡ります。州都マナウスを訪れた旅医者によると、それは「マラカスが刻むリズムに合わせて踊る牛や合唱団」だったと。パフォーマンスは大体4〜5時間、多い時は一晩でそれを2つ(4〜5時間×2)披露したそうな。
ガランチード、カプリショーゾというチームができたのは1910年代。
ガランチードがまず結成され、その後を追いカプリショーゾが結成されました。他にも色々なボイのグループがいましたが、1965年のフェスティバル創設までに残ったのはこの2チームでした。
もともと地元のカトリックの若者のパフォーマンスとカトリックのお祝いの伝統に関連するコミュニティのパーティーとして始まったフェスティバルは、2000年に入るまでに徐々に現在の形になっていきました。
簡潔にまとめると、ボイ以外も参加するフェスティバルに2チームが出演→ボイが盛り上がる→徐々にボイのお祭りにという流れです。
大まかな触りだけ紹介してみました。
次の記事ではボイ・ブンバの一年や出し物を見ていきます。
北東部のボイ
前回の記事ではボイのルーツを説明しましたが、今回は第2章としてブラジル北東部のボイを紹介します!
リオグランデ・ド・ノルテではボイ・カレンバ、マラニャンではブンバ・メウ・ボイ、バイーアではボイ・ジャネイロ(ボイ・デ・ジャネイロ)と呼ばれます。
1番最後のものは、ボイ・デ・レイス Reis de Boi というカトリック行事の色が強く、他のボイとは趣旨がちょっと変わってきます。
1個ずつ見ていきましょう。
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ブンバ・メウ・ボイ
動画はマラニャンでの様子。毎年6月に開催されます。
マトラッカ(ブラジル版のクラベス。動画内のカチャカチャした音はこれ)、ザブンバ(ブラジルのドラムみたいな。アフリカの楽器)などのパーカッションから、サックスやクラリネットなどのヨーロッパの楽器まで演奏に使われます。バンジョーも忘れてはなりません。
メインテーマはやはり牛の回復のお話。
パフォーマンスには農主・労働者・牛・巫師…など牛の回復のお話の人物が登場する他、ブラジルの先住民族を表した舞踊もします。
色んなグループがステージを用意しますが、競うという要素はなく、あくまでみんなで喜びを分かち合おう!という趣旨の行事として生きています。
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ボイ・カレンバ
リオグランデ・ド・ノルテ(以下RN)ではボイ・カレンバと呼ばれたりします。(ブンバ・メウ・ボイの総称に含まれる場合もあるので断言はできません。)
動画はRNの代表に挙げられるボイ・カレンバ・ピンタジーニョというグループです。今年(2020年)で115周年を迎える、歴史の古いグループなんです!
州の外でもボイ・カレンバ及びRN州の文化団体の代表としてパフォーマンスをしているので、他のボイとは違い年間を通して活動しています。
カラフルなテープが特徴的な赤い衣装に身を包み、牛の復活のお話を表現します。演奏は、ラベイカ(ブラジルのバイオリン)がメインで、タンバリンや他の弦楽器も用いられます。
毎年1月6日は公現祭というカトリックの休日。
12月に誕生したイエスを礼拝するためにベツレヘムを訪れた三博士がやってきた日です。
この日に音楽を奏でて人々のお家を訪ねて回る集団をテルノ・デ・レイスといいますが、この動画はバイーア州での様子を収めたものです。
他の地域の様に牛の復活のお話を演じるという性格は見られませんが、これもボイから派生したものなんです。
牛とカウボーイが先頭に立ち、その後ろを演奏隊が続き、人々の家の間を練り歩きます。
このボイ・ジャネイロの日になると家から子供たちが飛び出して行って、親御さんは心配するのだとか…。
ささっと3つ挙げてみました。
地図を見ても分かりますが、土地的にはあまり離れていないのにバイーアに入るとかなり宗教色が強くなりましたね。
ねぶたを想像してもらえれば分かりやすいかもしれません。
青森では青森ねぶた・弘前ねぶた・黒石ねぶた…と県内だけでもたくさんねぶた祭りが行われますよね。青森に伝わる立派な伝統の1つです。
側から見れば似たように見えるけど、地域によって規模や掛け声、山車の作りなどが細かく変わってくるじゃないですか。
ボイもそのように、側から見れば牛がいて…牛の復活のお話があって…と同じに見えますが、地域によって表現が全然違います。そこが面白くて、私はブログを書いています。
次はアマゾンのボイ・ブンバをご紹介します。
ボイの中でも大変規模が大きく、私が特に大好きなこともあって笑、記事を3回に分けて説明します。