アマゾンのボイブンバⅢ:採点項目
さて、ボイ・ブンバの基礎情報を2回に分けて書いてきましたが、今回は採点項目と、ボイ・ブンバの登場人物について説明します。
ミュージカルのように演目によって登場人物などがテーマによって1から変わるようなイメージになりますが、違います。
どちらかというと歌舞伎と似ています。
女方、立役……は演目ごとに演じる人物を変えても役柄が持つ性格は変わらないじゃないですか。ボイ・ブンバのダンサーも類型化されていて、テーマによって衣装や動きが変わりますが、役柄の性格は必ず引き継ぎます。
この説明で伝わりますかね?とりあえず、ボイ・ブンバ=歌舞伎という認識で読んでみてください。
採点項目は21。
毎日、以下の項目を7点から10点の間で点数をつけます。その日に表現されていないものがあると、他の日に演じていたとしても、その日のその項目の点数は0になります。(例えば2日目に巫師のパフォーマンスがなかったら、その日は12の項目に点数は入らない)
12人の審査員に点数をつけられる項目を1つずつ見ていきましょう!
(1)司会 APRESENTADOR
観客を煽り、ショーの流れを解説、盛り上げるひと。
(2)ボーカル LEVANTADOR DE TOADAS
基本的にずっと歌っているひと。
(3)演奏 BATUCADA OR MARUJADA
基本的にボイ・ブンバは生演奏。オペラと一緒!
(4)先住民の儀式 RITUAL INDÍGENA
先住民の神秘的な儀式を再現する。
(5)旗手 PORTA-ESTANDARTE
動く牛のシンボルである旗を使ったダンサー。勇気・優雅さ・喜び…をバレエの様なダンスで表現する。
(6)農場主 AMO DO BOI
牛の回復のお話の農場主。カウボーイを従え、牛たちと暮らし、牛を称賛する歌を歌う。
(7)農主の娘 SINHAZINHA DA FAZENDA
↑の娘。家族の中ですごく大事にされているので、優雅な動きをする。牛に愛情を注ぐような動きが見られる。
(8)先住民の女王 RAINHA DO FOLCLORE
厳かなドレスに身を包み、先住民の前に立つ女王を演じる。
(9)クーニャ・ポランガ CUNHÃ-PORANGA
先住民女性の力強さや優雅さを表現。部族のために戦う少女でもあり、森の守護者でもある。
※日本語でニュアンスの近い単語が見つからないので、現地の名称のままご紹介しました。
(10)牛 BOI BUMBÁ EVOLUÇÃO
ボイの象徴の牛さん!
(11)楽曲 TOADA (LETRA E MÚSICA)
歌詞や構成、編曲…など幅広く評価される。歌詞解釈には先住民時代から現在に至るまでの歴史的・地理的、文化的・社会的要素を集約するようにする。
(12)巫師 PAJÉ
牛の回復のお話にも見られる巫師。先住民にとって医者でもあり、部族を導く存在でもあった。
(13)先住民 TRIBOS INDÍGENAS
アマゾン原住民を模したパフォーマンス。ルーツへの忠実度を見られる。
(14)先住民の頭 TUXAUAS
これどこに顔があるか分かりますか?
先住民部族のリーダーを演じる。アマゾンの先住民やカボクロ(キリスト教に馴染んだ先住民。白人社会の中で奴隷にされた)を象徴的に表す。
(15)アマゾンの土地 FIGURA TÍPICA REGIONAL
アマゾンの風景/土壌を表現する。
(16)山車 セット ALEGORIA
舞台セットや山車。細部までの完成度、動きなどの機能性、大きさや美しさが考慮される。
(17)アマゾン文化 伝説 LENDA AMAZÔNICA
アマゾンの文化や民間伝承を表現する。
(18)カウボーイ VAQUEIRADA
牛と一緒に遊ぶカウボーイ。
(19)観客 GALERA
観客の盛り上がりもパフォーマンスの完成度の一部。
(20)振付 COREOGRAFIA
パフォーマンス全体を通したダンスや動き。
(21)編成 ORGANIZAÇÃO E CONJUNTO FOLCLÓRICO - APOTEOSE
アリーナのお掃除とも。終演時のこと。
採点項目は以上です。
司会が次の曲がどの項目にアプローチするものかを叫ぶので全体を理解しやすいです。
美しさや完成度、親しみやすさ、独創性、などは項目関係なしに見られます。
そして、勝敗は3日間全てのプログラムが終わった後に発表です!
さて点数がつけられるまでを長々と2千字以上も書いてきたんですけど、ついてきてますか…?
ボイ・ブンバの解説は一旦これで終わりです。
次回からはブラジルその他地域のボイを紹介します!